フランス奮闘記録

誰がアパレルを殺すのか

経済産業省が2016年に公表した「 アパレル・サプライチェーン研究会報告書」はデータで裏付ける。報告書によると、国内アパレルの市場規模は1991年に約15.3兆円あっ たが、2013年には約10.5兆円に縮小した。ここ数年は訪日外国人による〝 爆買い〟特需が底上げしていると見られ、これを除けば既に10兆円割れしている可能性がある。

杉原 淳一; 染原 睦美. 誰がアパレルを殺すのか 日経BP社. Kindle

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刺激的なタイトルだけれど、業界が鋭く分析されている。そして自分がこれまで見てきた内容をほぼ網羅している。ズキズキと響く。読みながら心臓ばくばくしました。

 

下記はこの本を読みながら、自分で改めて振り返ってみた典型的なアパレルの内情。

 

数字は昨年対比でしかみておらず、大局的にどのような動きになっているか変動しているか見ないし、見ようとしない。昨年対比の売り上げが伸びていればそれで良い。服は売れ筋を追い、販売員のケアは他企業と大差ない。広告は過去反響があった雑誌に飛びつきしがみつくのみ。ネット販売がいい(売れる)からと急にネット販売用の商品を作り始める。経営はその時のトレンドや経営者が感化された一部の言葉など局部的な事項に左右されまくり。売上の内訳大半は訪日外国人、セール、そしてアウトレットネットセール。作対比が大きく前年を割れてからオロオロと動き出す。

 

改革しようと試みるが、関係者が多い、年功序列の経営者は話を聞かない。人材が頻繁な入れ替わる。手も足も出ない。諦めの境地にまで達し妥協を繰り返してしまう能力とやる気のある若者。

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この本で大きなヒントになるなと思ったキーワードは以下

ー海外市場(バイヤーではないセル)

ー欧米の小売は横でつながっている。

ー販売員の年齢制限は100歳まで

ーEverlane

*蛇足だが、フランスの大学で私も一つだけコースをとって一定期間授業に出ていた時期がある。そこの名物マーケティング教授がしきりに提案していたのが「price transparency」まさにEverlane。自分で提案したかのような口ぶりだったけど。その時にEverlaneについてもっと詳しく知っていればよかったと悔やまれる。

この理論その時はふーんとしか思わなかったけど、こうやって実際プライスをガツンと見せられるとやはりインパクトある。え?こんなに安く買えるの?ラッキーという点で。自分が買い物をするときは自己利益を一番に考えてしまいますよね(合理的に行動する)。今まさにシャツを買わんとする女子が工場へ払う賃金に目を向けるかな。最終的にはtraditional priceとeverlane priceのみを比較させて、自分の買い物は間違いないわね。と納得してポチッと購入するのではなかろうか。ここまでEverlaneが計算してこのプライス表示をしていたら恐ろしいけど、結果的にその効果が出ている気がしてならない。試しにあなたの購入した商品の内、工場にはいくら払われていましたか?というアンケートしてほしいな。

 

疑問点は以下

ー商社

これだけ鋭く分析しているのに、この本で指摘をするアパレル業界の分業を進めたプレイヤーとして、結構重要な役割を示すと思われる「商社」については詳しい記載がほとんど記載がない。これは何故なのだろうか。

ーレンタル業界

本当に盛り上がっているのだろうか。メルカリほどにレンタルは一般化していない。何故ならメルカリで買って売った方が安いから。レンタルの会員数は多いが実会員数を公開していないあたり利用者は登録数少ないのではと推測している。

 

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