フランス奮闘記録

海外営業に思うこと

フランス語は怪しい。英語だって完璧じゃない私が欧州で売り込みできるのか本当に不安だった。でももう36歳。日本のマーケットだけで生きてきて、海外に通用する学歴や職歴があるわけでもない私がチャレンジできる機会は今しかない。

 

幸い私の前職経験は、日本のことをよく知っている企業もしくは日本企業には魅力的に映る。さらに約10年間ジェネラリストのような業務経験をしてきたので「営業」、「マーケティング」、「管理」業務は一通りできる。語学も「英語」「中国語」はスムーズではないが使える。

 

一方、フランスで約半年くらい就活してみて、何社か面接に行ったもののサポートや何かの管理だけで、自分の大事な30後半から40歳にかけて成長が見込めない業種は嫌だなとはっきり思うようになってきた。仕事をもらえるだけでありがたいというのはもちろんだけど、乗り気じゃない仕事を子育てを犠牲にしてまでやりたくないのが本音。

 

さらに子どもとの時間も大事にしたいというわがままもあって、フリーランス営業という今の仕事を引き受けた。日本で生活していた2年前には全く考えられない選択肢をとったなという印象。人生面白い。

 

特に日本の海外輸出営業は、商社にいた時に実感していたけど、とりわけノウハウや強みがあるわけでもない。もし私が扱う商品に縛られず「欧州営業」のプロフェッショナルでいることができれば、「自分の名前」で仕事ができるかもしれない。しかもご存知の通り日本市場は縮小傾向。あと数年したら慌てた日本企業が、モノやサービス海外売上を目指すことになるので、私の職業人生をあと20年としたスパンで考えるとおそらく需要は先細る事はない。これからチャレンジする分野としては最適かもしれないと考えた。

 

ここまで自分の気持ちばかり並べていますが、まずはこんな海のものとも山のものともわからない私に委託してくれる相手がいないとできない仕事。怪しい私に業務を委託してくれてた企業様には感謝しかないです。

 

しかし、業務に取り組むモチベーションはあるものの実績を出さないと意味がない。経験のない海外営業を過去の経験やフランスに住んで思ったことなど頭を総動員させて手探り状態で始めた海外営業。自分なりに戦略を立てて行動して見たところの中間報告。

 

実績(売上)を作るまでの過程はとてもシンプル

  1. 商談のアポイント取る。
  2. 条件と商品を紹介。使用してもらう。
  3. 相手の要望を聞いて、条件調整が必要ならばできる対応をする。
  4. オーダーをもらう
  5. フォローする。

 

一番大変なのはどこか。

答えは1.です。

 

ネームバリューもなく、商品の差別化もよくわからない商品を、ゼロから売り込んで、アポイントもしくはサンプル使用してもらうやりとりまでたどり着くのってすごい大変。

 

メールしたり電話したり、まずは顧客候補のHPなどで何を求めていそうか想像して、とにかく、当たりまくる。当たりまくって顧客候補が尽きたら意味ないので、少し当たっては反応みて、少し当たっては反応を見て、電話して断られてということを続ける。

ただ、電話だと受付で終わってなかなか取り次いでもらえない。労力と電話代がかかかるわりに先に進まないことが多く、本当に洗練したファーストメールの方が有効であると感じる今日この頃。興味のある顧客候補が一発で反応してくれるのでありがたい。今の所思うのは本当に興味のある企業はすぐにメールバックしてくれる。

 

本当に大丈夫かと心折れそうな頃、1件でも商談が入るととても嬉しい。藁にもすがる思いで、とれた商談は万全の準備をして向かう。

 訪問して相手の反応を見て、こちらの想像していたアピールポイントと先方が興味を持ってくれるところのズレを修正。その興味を持ってもらったところを次のアピールポイントとしてさらに売り込む。マーケットの反応というものがそこにはあるので、アピールポイントの精度がだんだん高くなって来ることを感じる。競合もくっきり見えてくる。

 

これを続けて、今は当初想定していなかった業界にまで踏み込みこむことになったものの、今は業務を始めた頃と比べてアポイント率がとてもよく。請け負っている商品に当初の予想を超えたアピールポイントが見つかった。

 

商品そのものはとてもいいので、あとは商談の引きおよび、条件の面でどのような資料を送ったらわかりやすいか。何がネックになりそうか。を常に考えて資料も何回も何回も作り直して営業している。全部自分で考えたことを実行して試してということができる。そして業務時間もかなり柔軟に対応させてもらっている。

 

今思うのは本当に必要なことを研ぎ澄ませて集中してやれば1日10時間も仕事することなんてないんじゃないかな。もちろん私は個人事業主なので、管理関係の業務は一切なくてその点は経営者とは違うし、内向きの業務がほとんどないお気楽な状態なのだから言えるのだけど。今までなんて非生産的なことに時間取られていたんだろうと思うのは事実。

 

一方で、福利厚生なんてあるわけないし、一定の報酬いただいたら税金取られるし。業績悪ければ契約切れるし。何にも守られていないから不安定だし、デメリットも本当に多くある。夫が今いなくなったら私はこの仕事だけで生きていけない。でも私はこの土地で今この環境で海外営業を生業にしていこうと決めた。もしかしたら家族の形に変化があったり、自分の中で価値観の変化があるかもしれない。でもそれまでやるだけやり続けようと思うのでした。